朝6時。
出勤まであと3時間。
生きるためだけの8時間を。
夢を追いかけてこの場所に来たんだ。
青く錆びた六弦は篭る音。
あの時愛した人は僕の音楽が好きだった。
黒いピックガードは少し白く積もるプライド。
朝7時。
出勤まであと2時間。
生きるためだけの8時間を。
ベッドにひれ伏して頭を抱えだした。
赤く唇は濁るもつま先。
あの時愛した人は僕の音楽が大好きだった。
綺麗な景色は、塩水で埋まる1ミリの海。
朝8時。
出勤まであと1時間。
生きるためだけの8時間を。
飲み屋で交わす、あなたの笑顔とビールジョッキ
守るべき存在が見え隠れ。
職場で交わす、あなたの言葉と憧れる背中
夢が詰まる指先と口の先の語尾のあと。
朝9時。
出勤時間まであと数秒。
生きるためだけの8時間を。
せっかく連れ添った愛の人。
24時間のうち会えるのは2時間。
週末になれば少し長く。多く。
それでもと噛み締める大人たち。
それはとてもと噛み締める子どもたち。